「キャプテンチェアって、普通のダイニングチェアと何が違うの?」
カフェやレストランで一度は目にしたことがある、肘掛けと背もたれが一体化した木製の椅子。そのシルエットに惹かれて調べてみると「キャプテンチェア」「ウィンザーチェア」「スモーカーズボウ」と複数の名前が出てきて、結局どれが何なのか分かりにくい——そんな経験はないでしょうか。
この記事では、無垢家具専門店RAM(ルームアート松井)が、キャプテンチェアの語源・歴史・ウィンザーチェアとの関係・樹種別の選び方を順を追って解説します。最後に、RAMで取り扱う2つのキャプテンチェアと、座面高をオーダーで体格に合わせる方法もご紹介します。
キャプテンチェアは、低めの背もたれと肘掛けが一体化したU字型のアームレールを持つ木製アームチェアです。座板に背棒(スピンドル)とアームを直接挿し込むウィンザーチェアの構造を受け継ぐ一系統で、19世紀のイギリス(ヴィクトリア朝期)で広く普及し、アメリカでも独自の発展を遂げました。
「キャプテン(船長)」という名前の由来には諸説あり、船で船長など高級船員が使っていた椅子に行き着くという説が広く知られています。なかでも19世紀のミシシッピ川を航行する蒸気船で使われたとされる説が有名で、限られた船室でも肘を預けて寛げるよう、背もたれを低く・アームを連続させた合理的なデザインが生まれたと伝えられます。
本家イギリスでは、同じ形のチェアは喫煙室や紳士の社交場で広く使われたため、スモーカーズボウ(Smoker's Bow)という別名で親しまれてきました。寛いで腕を預けながら煙草を嗜む——そんな用途に合うように設計された椅子が、ダイニングや書斎へと活躍の場を広げ、現代に伝わっています。
キャプテンチェアを正しく理解するには、まず「ウィンザーチェア」という大きなカテゴリーを知る必要があります。ウィンザーチェアの中の一系統として、キャプテンチェアは生まれました。
ウィンザーチェアとは、厚い座板にお尻のくぼみを彫り、その座板に背棒(スピンドル)と脚を直接挿し込む構造を持つ木製チェアの総称です。16〜18世紀にかけてイギリスで発展し、その合理性と耐久性から世界中に広まりました。座面と脚・背もたれが別々のフレームで組まれた一般的な椅子とは構造そのものが異なる、独立した系統です。
ウィンザーチェアは、背もたれの形によっていくつもの系統に分かれます。代表的なものを挙げると、コムバック(櫛状の高い背)、フープバック(弓状の背枠)、ファンバック(扇状の背)、コンティニュアスアーム(背とアームが一本の曲木)、ロッドバック、サックバックなど。背もたれの形が変われば名前も変わる、というわかりやすい命名です。
その中でキャプテンチェアは、笠木(背の上端)と肘掛けが一体化してU字型のアームレールを描き、背の高さは比較的低いローバックウィンザー(Low-back Windsor)に分類されます。背を圧迫感なく抑えつつ、肘から肩までを面で包む設計が、リラックスして座れる大きな理由です。
キャプテンチェアを選ぶときに押さえたいのは、樹種・仕上げ・座面高・合わせるテーブルの4つです。同じ「キャプテンチェア」と呼ばれるものでも、この4つが変わるだけで部屋の印象と座り心地は大きく変わります。ダイニングチェア全般の選び方や他スタイルとの比較は ダイニングチェアの選び方とおしゃれな組み合わせ5選 もあわせてご覧ください。
RAMのキャプテンチェアは、ウォールナット+オーク/オーク/ビーチの3樹種から選べます。それぞれの個性は次の通りです。
各樹種の硬さ・経年変化・他家具との相性については 家具に使われる無垢材7種類|樹種ごとの特徴と魅力を徹底解説 で詳しく解説しています。
仕上げはオイル/ウレタン(クリア)/ウレタン(カラー)から選択できます。オイル仕上げは木の呼吸を妨げず質感を活かせる一方、定期的な再塗布が必要。ウレタンクリアは食べこぼしや水拭きに強く、メンテナンス負担が少ないのが利点です。ウレタンカラーは、漆黒のキャプテンチェアBKのように、空間を引き締めるアクセントを作りたい場合に選ばれます。塗装ごとのお手入れ手順や頻度は 家具のメンテナンス・修理ガイド|無垢材のオイル手入れから専門修理まで で詳しくまとめています。
キャプテンチェア選びで最も見落とされがちなのが座面高です。RAMのキャプテンチェアは、標準座面高41.5cmから、380〜450mmの範囲で調整が可能。ダイニングテーブルとの差尺(テーブル天板から座面までの高さの差)は一般に25〜30cmが目安とされ、日本人の平均的な体格では27〜30cmあたりが快適に座れる範囲です。お使いのテーブル高さに合わせて座面高を決められます。
商品ページからお問い合わせいただく際に、身長とお使いのテーブル高さをお伝えいただければ、最適な座面高をご提案します。受注生産で約1ヶ月後にご自宅へお届けする流れです。
キャプテンチェアは肘掛けがあるため、テーブル下に椅子を完全に収めたい方は幕板(天板裏の補強材)の高さに注意が必要です。アーム上端の高さ(RAMモデルで64.5cm)と、テーブルの幕板下端の高さを比較し、椅子を引き出さなくてもスッと収まるかを確認しておくと安心。円形・楕円形のテーブルなら椅子の出入りがしやすく、ローバックの圧迫感の少なさを活かせます。形状ごとのメリット・デメリットは 丸テーブル vs 長方形テーブル|後悔しないダイニングテーブルの選び方 もあわせてご覧ください。
RAMでは、樹種違いの2モデルのキャプテンチェアを取り扱っています。どちらも本体寸法は幅59.5×奥行50.5×高さ71.5cm(座面高41.5cm/アーム高64.5cm)で共通。樹種・仕上げのバリエーションで、空間に合わせた一脚を選べます。
RAMの定番モデル。座板やアームに使われるウォールナットの深い色合いと、脚に使われるオークの明るさが対比となり、無垢材の表情を立体的に楽しめる一脚です。お椀のように丸みのある座面と、扇状に広がるスポーク(背棒)が背中をやさしく支えます。
同じフォルムを、ウレタンのカラー仕上げで漆黒に染め上げたモデルがキャプテンチェアBKです。無垢材の温もりはそのままに、黒の引き締め効果で空間にメリハリを生みます。RAMが提案する「無垢材×ブラック」のコーディネートと相性が良く、モダンミニマルや和モダンの空間で映えます。
キャプテンチェアは、ウィンザーチェアの系譜を受け継ぎながら、樹種・仕上げ・座面高をお客様の暮らしに合わせて選べる奥行きのある椅子です。商品ページからお問い合わせいただければ、身長やテーブル高さをお伺いし、最適な一脚をご提案します。受注生産だからこそ、長く付き合える一脚を選んでください。