「無垢のダイニングテーブルが欲しい。でも普段は大きすぎるから、来客のときだけ広がる伸長式にしたい」
そんな方へ。ポイントは、無垢材の伸長式ダイニングテーブルは、素材と構造の相性という点で難しい組み合わせだということです。木は湿度で伸び縮みする素材で、伸長式は天板の合わせ目とレールで精度を出す構造だからです。だからこそ、伸ばしても無垢のままという一台には価値があります。無垢家具専門店RAM(ルームアート松井)が、大正13年から続く家具屋の目線で選び方を解説します。
動く素材の上に、動いてほしくない仕組みを載せることになるためです。この構図を知っておくと、店頭でもネットでも何を確認すべきかがはっきりします。
木材は湿気を吸ったり吐いたりして寸法が変わり、その大きさは方向によって違います。収縮の割合は、年輪に接する接線方向を10とすると、半径方向がおよそ5、幹に沿う繊維方向がおよそ1とされています。
そのため天板は、長さ方向にはほとんど動かないのに、幅方向は季節でわずかに伸び縮みします。無垢の天板が反ったり、板の間にすき間が出たりするのはこの性質によります。
伸長式は天板を分けて動かすため、合わせ目のすき間や高さのずれが表に出やすい構造です。スライドさせるレールが要るため、閉じたときにぴたりと合うだけの精度が求められます。
動く素材である無垢材と、精度が命の可動機構。この2つの両立が、無垢の伸長式テーブルの難しさです。
伸長式を無垢で探すときは、伸ばした部分まで同じ無垢材かを必ず確認してください。本体と追加分で素材や仕上げが違うと、広げたときだけ色や質感が浮いて見えるためです。
国産か海外製かが気になる方は、天板の樹種と、レールなど金物の産地を分けて確認すると迷いません。
樹種より先に、天板の作りを決めると選びやすくなります。同じ「木のテーブル」に見えても、作りによって価格も反りやすさもまったく違うためです。
無垢材とは、原木から切り出したそのままの木材で、集成材などの加工したものに対して使う言葉です。芯まで同じ木でできているため削り直しができ、傷が付いても表情として馴染んでいきます。
| 天板の作り | 構造 | 向いている人 |
|---|---|---|
| 一枚板(無垢) | 1本の木から切り出した継ぎ目のない板 | 木の表情を主役にしたい方 |
| 幅はぎ(無垢) | 無垢の板を幅方向に接ぎ合わせて1枚にしたもの | 広い天板を無垢で、反りを抑えて使いたい方 |
| 突板 | 0.2〜0.6mm程度に薄くスライスした木を合板やMDFに貼ったもの | 価格と軽さを優先したい方 |
「幅はぎ(巾はぎ)」は、無垢の板を幅方向に接ぎ合わせることを指す言葉です。ダイニングに必要な幅を一枚板で取るには大きな丸太が要るため、一枚板は希少で高価になり、幅が広いほど反りや割れも出やすくなります。
一枚板を候補に入れている方は、下の記事もあわせてご覧ください。
無垢か突板かで迷ったら、天板の側面を見ると分かります。無垢は上面の木目がそのまま側面へ回り込みますが、突板は薄い木を貼っているため下地の合板の層が細い縞になって出ます。上の比較画像でも、右端だけ側面に層が見えています。
樹種は「濃い色で締めるか、明るい色で広く見せるか」から決めると絞り込めます。ダイニングテーブルは面積が大きく、床や建具との色の関係がそのまま部屋の印象になるためです。
ウォールナットは濃い褐色で、空間を落ち着いた表情に締めます。白い壁や明るい床の部屋ではコントラストが効くため、テーブルが部屋の主役になります。
部屋を明るく広く見せたいなら、白っぽい色から淡い黄色みのオークやアッシュが向きます。光を反射するため、同じ広さでも空間が軽く見え、明るい床ともなじみます。
10年後の変化がいちばん分かりやすいのはチェリーです。買ったときは淡いピンクがかった色ですが、使ううちに濃い飴色へと深まるためです。
樹種ごとの色や硬さ、経年変化をもっと詳しく比べたい方は、下の記事で7樹種を解説しています。
伸長式のサイズは、いちばん広げた状態を基準に測ります。広げたときに椅子が引けないと、伸ばせるという機能そのものが使えなくなるためです。
1人分の食事スペースは幅60cm前後が目安です。4人で向かい合うなら幅120〜150cm、6人なら幅180cm前後から。そのため、普段の人数で基本サイズを決め、最大人数で伸ばした幅を確かめます。
テーブルの後ろは、椅子を引いて立ち座りできるよう60cm前後を空けます。その後ろを人が通るなら90cm前後です。そのため、伸ばした状態でこの寸法が残るかを、置く前に床へ印を付けて確かめると確実です。
無垢の手入れの手間は、樹種より仕上げで決まります。オイル仕上げは木に浸み込ませる塗装のため木肌の手ざわりが残り、乾いてきたら自分で塗り足せます。ウレタン(クリア)は表面に膜をつくって水や汚れから守るため、小さなお子さんのいるご家庭では気楽です。
反りを抑えるには置き場所が効きます。エアコンの風が直接当たる場所と窓際の直射日光を避けると、片面だけが乾いて木が動くのを防げます。RAMは購入後の修理・リペアにも対応し、木部・構造部分にはご購入日から最大10年の保証が付きます(消耗品・天災・不適切な使用などは対象外、日本国内でのみ有効です)。
ここからは、無垢材のまま天板を広げられるRAMの伸長式テーブルを紹介します。600㎡のショールームで実物に触れられますが、遠方の方は商品ページからお問い合わせいただければ、暮らしに合う一台をご提案します。
WSは、天板を引き伸ばして幅を変えられる無垢材の伸長式テーブルです。普段は幅151cmでコンパクトに使い、来客時は191cmまで広げられます。RAMの商品ページには「RAMセレクト WS(ダブルエス)」の名前で並び、海外製の特注レールを使用して作り上げた無垢材の伸長式テーブルとして紹介されています。
高さは70cm、天板の厚みは2.5cmです。木部はウォールナット・レッドオーク・チェリー・ホワイトアッシュの4樹種から、仕上げはオイルとウレタン(クリア)から選べます。前の章の「濃く締める」「明るく見せる」「色が育つ」は、どれもこの一台で選べます。
幅60cmを1人分とすると、151cmでは4人、191cmまで広げれば6人で囲める計算です。普段は4人で囲み、来客のときだけ2人分を足せます。
広げたときがいちばん大きくなるため、伸ばした191cmを基準に、後ろの通路が60cm残るかだけ先に測っておくと安心です。
無垢と伸長式は相性が難しいからこそ、伸ばした部分まで無垢かどうかが分かれ目になります。天板の作りと樹種で表情を決め、伸ばした状態の寸法で置けるかを確かめる。この順なら、10年後の食卓まで付き合える一台にたどり着けます。
気になる家具は、東京・品川の店舗で実物をご覧いただけます。
無垢材の質感や座り心地を確かめてから、サイズ・素材を自由にオーダー。専門スタッフが無料でご相談を承ります。