「ペルシャ絨毯のような柄のラグに惹かれる。でも、あの柄をそのまま敷いたら、部屋が古臭く重たくなりそうで踏み切れない」
その迷いに答えるのがヴィンテージ風ラグです。古典的な柄は残したまま、色をあえて褪せさせ、柄の輪郭をかすれさせてあります。柄の主張が弱まるため、白い壁と木の床でまとめた現代的な部屋にもすんなり収まります。創業100年の家具専門店RAM(ルームアート松井)が、選び方を解説します。
ヴィンテージ風ラグとは、新品のラグに褪色(たいしょく)加工をほどこし、長く使われた表情を人の手で作ったラグです。本物のヴィンテージラグやオールドラグは、実際に何十年も使われて色が抜けた古いラグを指します。何が違うのかといえば、その表情を時間が作ったか、加工が作ったかという一点です。
ヴィンテージという言葉は、もともと「古くて価値のある年代物」を指します。年月そのものに価値があるのが本物、その年月が生んだ見え方だけを取り出したのがヴィンテージ風です。
ペルシャ絨毯風のラグでまず目に入るのが、中央に置かれた大きな円い飾り柄です。これをメダリオンと呼びます。もともと円形の装飾やメダル状の飾りを指す言葉で、その周りを草花模様と縁取りが囲む構成は、古典的な絨毯によく見られます。
ヴィンテージ風ラグでは、このメダリオンにも褪色とかすれがかかります。柄はあるのに輪郭がぼやけている。それが「柄物なのに主張しない」状態を作ります。
買うときの実務的な差は、同じものをもう一枚選べるかどうかに出ます。本物は一枚ごとに色の抜け方も傷み方も違うため、同じものは二枚とありません。寸法も柄も、出会ったものの中から選ぶことになります。
ヴィンテージ風は逆で、同じ柄を色違い・寸法違いで作れます。「この柄は好きだが、うちのリビングには少し小さい」という妥協が要りません。
柄の輪郭がぼけていると、メダリオンの古典柄は「模様」ではなく「陰影」として働くためです。床の上で読み取られるのが、細かい柄そのものではなく明暗のむらになります。だから白壁と木の床のモダンな部屋に合わせても、部屋が古臭く重く見えることはありません。
くっきりした柄のラグは、部屋の中で一枚だけ強い面になります。そこへ濃い木の家具やアンティーク調の小物を足すと、空間全体が重くなります。褪色加工は、その強い面をあらかじめ弱めておく仕掛けです。
合わせ方の軸は、ラグを主役にせず、部屋を締める影として使うことです。白い壁と明るい木の床という現代的な下地に、黒やダークグレーの家具を少しだけ置き、その足元へ褪色した古典柄を敷く。この組み立てなら、柄はアクセントの位置に収まります。
逆に、濃い色の壁や大きな革張りのソファなど重い要素がそろった部屋では、柄のあるラグを足すと過剰になります。その場合は柄がほとんど消えかけた淡い色を選ぶと釣り合います。
かすれや色ムラは汚れではなく、意図してかけた仕上げです。新品のラグでも柄が褪色して見えるのは、フェード(=色があせること)と呼ぶ加工を最初から施しているためで、不良品ではありません。
むらの出方も違います。使用による汚れは人が歩く導線や家具の脚まわりに集中しやすく、加工によるむらは一枚の端から端まで連続して、柄の線に沿って現れます。
同じ柄でも、色が濃いほど柄は沈み、淡いほど柄は消えます。下の2枚は同じシリーズの同じ柄です。並べると、褪色加工の振れ幅がそのまま見えます。
濃い色は部屋を締める影になるため、黒やアイアンの家具と響き合います。淡い色は床の延長のように広がるため、部屋を広く見せます。柄の好みより、部屋をどちらへ寄せたいかで選ぶほうが失敗しません。
リビングに敷くサイズは、ソファとテーブルとの位置関係から決めます。ラグ単体の大きさを選ぶのではなく、ソファの前脚がラグに乗るか、センターテーブルの外側に余白が残るかで判断すると、置いたときに浮きません。
ここからは、褪色加工の古典柄を実際に形にしたラグを紹介します。RAMの自社ブランドorbitex(オルビテックス)が扱う、ベルギー製デザインラグ「Fading World(フェイディングワールド)」です。12色すべてに中央のメダリオンと、それを消しにかかる褪色加工が入っています。
ベルギー製ラグそのものの背景は、下の記事で解説しています。
12色は、部屋をどちらへ寄せたいかで4つに分けて見ると選びやすくなります。前章で並べた濃色と淡色の2枚が、その振れ幅の両端です。
柄をいちばん強く沈めたい方に向く一枚です。黒い地に古典柄が溶けかけていて、離れて見ると無地に近く、近づくとメダリオンの輪郭が浮かびます。黒い家具やアイアンの脚と合わせると、部屋の重心が下がって落ち着きます。
記事のいちばん上の寝室も、このミネラルブラックです。
柄をできるだけ目立たせたくない方に向く一枚です。クリームに寄ったミルクベージュの地に、中央の小さなメダリオンとフェードした縁取りだけが残ります。ナチュラルにも北欧にも寄せられる中間色で、床が明るいほど境目がなじみます。
買う前に確認しておくことは、素材とサイズの誤差、そして届くまでの期間の3点です。素材はポリエステル100%。ファブリック製品で、輸送や保管の間に伸び縮みするため、表示サイズに対して±3%の誤差が生じます。何センチまで置けるかがぎりぎりの場所では、この幅を見込んで選んでください。
サイズは幅80cm×150cm/140cm×200cm/170cm×240cm/200cm×280cm/240cm×340cm/280cm×390cmの6種類です。このうち140cm×200cmと170cm×240cmが、メインの在庫サイズにあたります。
納期は、在庫がある色とサイズなら7日〜10日。在庫を切らしている場合は4ヶ月〜6ヶ月かかります。欲しい色と大きさが決まっているなら、在庫の有無を先に確かめておくと安心です。
お手入れの方法や洗えるかどうかは、購入前に商品ページからお問い合わせいただくと確実です。ショールームでは実物を並べて見比べられますが、遠方の方も商品ページからご相談いただけます。
古典柄に惹かれる気持ちと、部屋を重くしたくない気持ちは両立します。柄を選び、その柄をどこまで消すかを色で決める。この順番なら、ヴィンテージ風ラグは部屋を古くせず、深さだけを足してくれます。
気になる家具は、東京・品川の店舗で実物をご覧いただけます。
無垢材の質感や座り心地を確かめてから、サイズ・素材を自由にオーダー。専門スタッフが無料でご相談を承ります。