吹き抜けの照明は何を基準に選べばいいのか。答えは、器具そのものの見え方です。
ふつうの天井なら、照明は頭の真上にあって視界にほとんど入りません。吹き抜けでは、器具が正面にも足元にも来ます。創業100年の家具専門店RAM(ルームアート松井)が、自宅の寸法で決められる形にして解説します。
2階のホールや階段の踊り場に立つと、吊り下げた器具は目線とほぼ同じ高さに来ます。手すり越しに、シェードの上面や器具の内側まで見えます。
この違いが、選ぶ基準を変えます。天井に付いた照明で問われるのは、点いているときの明るさだけです。吹き抜けの照明は、消えている昼のあいだも視界の中に残ります。器具の形と素材が、光と同じだけ効く場所だということです。RAMが手がけた住まいの事例にも、2階の手すりが吹き抜けに面した家があります。
もうひとつ、高い位置は手が届きません。掛け替えも掃除も気軽にはできないので、飽きたら替えればいいという前提では選べない場所です。
吹き抜けに吊るす照明の大きさは、真下のテーブルから掛け算で出せます。直径が何cmなら合うのかの目安は、テーブル幅の3分の1から2分の1です。丸テーブルなら直径、四角いテーブルなら短辺を基準にすると、全体のバランスが取れます。
自宅の卓を測って、下の表と見比べてください。
| 真下のテーブル(丸は直径・角は短辺) | 器具の直径|3分の1 | 器具の直径|2分の1 |
|---|---|---|
| 80cm | 約27cm | 40cm |
| 100cm | 約33cm | 50cm |
| 130cm | 約43cm | 65cm |
| 160cm | 約53cm | 80cm |
| 220cm | 約73cm | 110cm |
器具が大きくなるほど、真下に要る広さも増えます。直径1mを超える器具が釣り合うのは2m級の卓で、4人掛けの上には大きすぎます。逆に、広い卓に小さなシェードを1つだけ吊るすと、器具のほうが空間に負けます。
真下にテーブルがない吹き抜けの空間に吊るす場合、大きさを決めるのは、2階の手すりや階段からその器具までの距離です。
テーブルの形や素材から照明を選ぶ手順は、下の記事で解説しています。
器具の下端とテーブル面の距離は、60〜90cmが適当です。低すぎると人の視線を遮って圧迫感が出ますし、高すぎると手元の明るさが足りません。大きめの器具なら、天板から700〜800mmほどが収まりのいいところです。天井が高いぶんは、そのまま器具の上に残る空間になります。
天板の高さも決まっています。ダイニングテーブルの天板は、標準で70cmから72cm。2つを足すと、器具の下端は床から130〜160cmあたりに来ます。この位置は、天井が2.4mでも5mでも変わりません。
その残りに、器具の本体が入ります。本体の高さが101cmある照明を、天板72cmのテーブルの上に、下端が天板から70cmになるよう吊るすとします。器具の下端は床から142cm、そこに本体101cmが積み上がるので、上端は床から243cmです。最近の一戸建ての天井高は2400mmが多く、2400mm~2600mmの範囲であることが一般的です(建築基準法が住宅内の居室に求める下限は2100mm=2.1m)。2400mm=240cmの天井には3cm足りません。この吊り方では入らない、ということです。
吊る距離を下限の60cmまで詰めても、事情は変わりません。72+60+101で上端は床から233cm。240cmの天井まで残るのは7cmで、そこに吊り具が入ります。入るか入らないかの、ぎりぎりです。
吹き抜けが要るのは、この引き算の結果です。天井の高さが決めるのは直径ではなく、器具の全長のほうです。
1灯で明るさが足りるのか、何灯にすればいいのかは、テーブルの幅で見当がつきます。幅180cm以上のテーブルでは、1灯だと中央ばかりが明るくなり、端の席が暗くなります。2〜3灯をバランスよく吊るして、各席に光が届くようにしてください。明るさは、食事中心のダイニングなら1500〜3000ルーメンが目安です。
数えるのは器具の台数ではなく、シェードの数です。1台の中にシェードがいくつも付き、それが円周に散っている形なら、光の出口も同じように散ります。商品ページの写真でシェードを数えれば、真下の一点だけが明るくなる形かどうかは買う前に判断できます。
金属やガラスは光を跳ね返すか通すかですが、木は光が当たった面だけ表情が変わります。RAMが扱うウッドシャンデリアも、点灯すると木目が浮かび上がり、美しい陰影が出ます。天井の低い部屋では気づきにくい変化ですが、器具が視界の高さにある吹き抜けでは、この差がそのまま見えます。
消えているあいだの見え方も素材で決まります。金属やクリスタルのシャンデリアと違い、木は落ち着いた質感で収まります。オイルステイン仕上げの深みある色合いは、明かりが消えていても部屋から浮きません。
木の家具がある部屋なら、器具の側も木にすると素材が揃います。ナチュラルスタイルにも北欧モダンにも馴染みます。
木の照明そのものの種類と選び方は、下の記事にまとめてあります。
ここまでの3つ——真下に要る広さ、器具の上に残る空間、光の出口の数——を同時に満たすのが、RAMのZodiac(ゾディアック)です。冒頭の写真と、点灯している写真がこの照明です。光の出口は1点ではなく、円周に散ります。
幅108cm・奥行き108cm・高さ101cm(ボディサイズ)。本体はジェメリーナという木で、シェードはコットン。木部はオイル仕上げです。弧を描く曲線が持ち味のウッドシャンデリアで、天然木ならではの温かみが空間を包み込みます。
置き場所は、広めのダイニングテーブルの真上か、吹き抜けのあるリビング・天井の高い空間です。そこでこの木製シャンデリアの魅力が最大限に出ます。存在感のあるサイズなので、さきほどの引き算では天井の高さが要る側に入ります。シリーズは Wood Art Product、納期は在庫品で10日〜14日、海外受注生産品は約4〜5ヶ月です。
天井の高さも天板の高さも、いま自宅で測れる数字です。その2つが決まれば、吊れる器具の高さと釣り合う直径は引き算と掛け算で出ます。1階・地下・屋上・別館を合わせて600㎡のショールームでも、遠方の方は商品ページのお問い合わせからでも、その数字をもとに確かめられます。
気になる家具は、東京・品川の店舗で実物をご覧いただけます。
無垢材の質感や座り心地を確かめてから、サイズ・素材を自由にオーダー。専門スタッフが無料でご相談を承ります。