低めのダイニングテーブルにすると、何が良くなるのか。答えは、食事が終わったあともそのまま食卓に居られるようになることです。市販のダイニングテーブルが高さ70〜72cmに集まっているのは、座面高42〜45cmの椅子と組み合わせたときに、天板と座面の差がちょうど食事向きの25〜30cmに収まるからです。そこから3cmほど下げた高さ67cmは、同じ差を保ったまま、食卓を「食べる場所」から「食後もそのまま居られる場所」に変えます。ただし低くすればするほど良いというものではなく、下げ幅を間違えると椅子ごと買い替えになります。無垢家具専門店RAM(ルームアート松井)が、低めが向く家と向かない家、そして買う前に測っておく場所をお伝えします。
標準の70cmは、食事の姿勢だけを想定して決められた高さです。背筋を伸ばして皿に向かう数十分にはよく合いますが、食事が終わってもそのまま座り、家族と話し、コーヒーを飲み、本を開く。そういう使い方をすると、70cmは急に高く感じられます。背もたれに体を預ければ腰の位置が下がり、目線も手の位置も下がるからです。
高さが67cmなら、背もたれに寄りかかった姿勢のままでも手が天板に届きます。食後に姿勢を立て直さずに済み、ゆったりしたアームチェアの肘掛けも天板の下に入りやすくなります。標準の高さでは、くつろげる椅子ほど肘掛けが高く太くなり、天板の下に収まらない組み合わせが出てきます。
視線の高さが下がると、同じ空間のソファに座っている人と目線が近づきます。リビングへ移動しなくても会話が続き、コーヒータイムも読書もダイニングで完結します。部屋の見え方も変わります。目線を遮る水平面が下がるぶん、床から天板までの抜けが広くなり、同じ広さのダイニングでも空間が伸びて見えます。
天井から吊る照明との関係も変わります。ペンダントライトは天板から60〜90cmの高さに吊ると手元が明るく、対面の顔にも影が落ちません。天板が3cm下がればその分だけ照明も下げられるので、頭がぶつかる心配をせずに光を近づけられます。
肘が自然に乗り、肩が上がらず、脇も開かない。この姿勢をつくる数字が差尺です。差尺とは天板の高さから椅子の座面の高さを引いた差のことで、食事をする姿勢では25〜30cmが快適な範囲になります。
計算は簡単です。座面高42cmの椅子に高さ70cmのテーブルなら差尺28cm。同じ椅子に高さ67cmのテーブルを合わせれば差尺25cm。座面高40cmの椅子なら、67cmのテーブルで差尺27cmです。いま使っている椅子を続けて使うなら、座面の前端の高さを床からメジャーで測り、そこに25〜30cmを足してください。その幅に67cmが入っていれば、低めにしても食事の姿勢は崩れません。
差尺が30cmを超えると、肘を乗せるために肩が持ち上がります。逆に25cmを下回ると、太ももが天板の裏や幕板に当たり、椅子を引いて浅く座るしかなくなります。座面にクッションのある椅子は、座って沈んだ状態の高さで測ると実際に近い数字になります。順番も大切です。座り心地を決めるのは椅子ですから、長く使う椅子を先に決めて、その座面高に合う高さを選ぶほうが失敗しません。
境目にあるのは座面高です。天板を65cm以下にすると、差尺25cmを保つには座面高40cm以下の椅子が必要になり、市販のダイニングチェアの範囲から外れます。ソファに近い低さの専用チェアやベンチを合わせる前提になるため、いま持っている椅子はほとんど使えません。
67cmという高さは、座面高40〜42cmという市販のダイニングチェアの下限帯とちょうど噛み合う位置にあります。標準の70〜72cmから3〜5cm下げるだけなら、手持ちの椅子や一般的な椅子を選びながら、低さの恩恵だけを受け取れます。
座面高が45cmを超えているなら、高さ67cmの天板では差尺が22cmしか取れず窮屈です。まず椅子の座面高を床から測ってください。低めのダイニングテーブルを買う前にここを確かめておけば、後悔はほぼ防げます。
次に脚の位置です。天板の四隅に脚が立つテーブルは、高さが下がるほど膝や椅子の脚とぶつかりやすくなります。中央寄りの一本脚や、T字の台座で支える形なら、椅子を寄せる位置を選びません。
最後に天板の厚みです。40mmの厚板は反りにも強く木口の表情も豊かですが、その4cm分は確実に膝上から引かれます。厚い天板を低い高さで使うなら、天板の下に幕板や桟がどう入っているかまで見ておくと安心です。カタログに載っている高さは天板の上面までの数字なので、膝上に残る実寸は、そこから厚みと幕板の分を引いて自分で出すことになります。
低めが向かない使い方もあります。天板が低いと手首が下がるので、書き物やノートパソコンには使いやすくなりますが、立ったまま作業する台としては低すぎます。ダイニングを在宅の作業机も兼ねるつもりなら、座って使う時間が中心かどうかで判断が変わります。
低めのダイニングテーブルは、標準の高さの天板を切り詰めて下げるものではなく、最初からその高さで設計されたものを選ぶほうが確実です。
Kutsurogi(寛ぎ)は、高さ67cmで設計されたRAMの自社ブランド North Factory の無垢テーブルです。標準より低いこの高さが最大の特徴で、ゆったりしたアームチェアと合わせれば、食後もそのまま寛げる食卓になります。奥行きは90cm、天板の厚みは40mm。幅は150cm・165cm・180cm・200cm・220cmの5サイズ、樹種はウォールナット・オーク・チェリー・メープル・タモから選べます。
天板は広幅の無垢材を3枚はぎ合わせ、両端に天然の耳を残しています。継ぎ目が少ないので、一枚板のように連続した木目が食卓いっぱいに広がります。ウォールナットを選べば、深い色合いが低く伸びた天板の水平線を引き締めます。使い込むほど艶と深みが増すので、毎日触れる面ほど育ち方がわかります。
大正13年創業のRAMでは、1階・地下・屋上・別館を合わせて600㎡のショールームの地下で、無垢のダイニングを実際の椅子と合わせ、座って高さを確かめられます。遠方の方は商品ページからお問い合わせいただければ、お手持ちの椅子の座面高に合う高さと幅をご提案します。無垢材は購入後の家具修理・リペアにも対応しています。
気になる家具は、東京・品川の店舗で実物をご覧いただけます。
無垢材の質感や座り心地を確かめてから、サイズ・素材を自由にオーダー。専門スタッフが無料でご相談を承ります。