45×45cmのクッションカバーを探している方の多くは、中身をすでに持っています。替えたいのはカバーだけ。ところが替えてみたら、部屋がほとんど変わらなかった。これはよくある話です。
変わらない原因は、色や柄を足していることです。思い切って色物や柄物を選んだら、かえって散らかって見えた。無地に戻したら今度は寂しい。モノトーンでまとめたら、のっぺりして表情が出ない。クッションカバー選びは、この往復で終わりがちです。
色を増やせば散らかり、減らせば単調になる。この二択の外側に、もう一本の道があります。色をまったく足さずに、編みの凹凸だけで部屋を締めるという選び方です。
この記事では、創業100年の家具専門店RAM(ルームアート松井)が、中身はそのままにカバーだけを替える前提で、色ではなく凹凸で選ぶ考え方を実際の写真とあわせて解説します。
カバーのみで、中身のクッションは付いていません。アバカ(マニラ麻)を編んだCheckeredの二点は、サイズがどちらも幅45cm×高さ45cmです。手持ちの中身がこの大きさに合うなら、替えるのはカバーだけで済みます。
中身(ヌードクッション)まで買い直すと、いま使っているものが余ります。45cm角の中身が家にあるなら、そのまま使うほうが身軽です。
中身を入れると、編んだ面が中身の丸みに沿って持ち上がります。Checkeredは市松模様を模した柄で、真上から見れば平らに並ぶ市松が、横から見ると山なりに流れます。
ここまでは寸法の話です。ただ、45cm角のカバーはいくらでもあります。替えても部屋が変わらないのはなぜか。本題はここからです。
替えても変わらないのは、色や柄を足しているからです。
クッションはソファの上でよく目に入ります。そこへ新しい色を置けば、部屋が抱える情報が一つ増えます。ソファ、ラグ、カーテン、床。すでに四つ五つ色が並ぶところへ、六つ目を足すわけです。置いた直後はアクセントに見えても、暮らすうちに「散らかっている」に変わります。
では色を引けばいいのかというと、そう単純でもありません。同系色の無地に替えれば部屋は静かになりますが、境目が消えて面がのっぺり広がる。締まったのではなく、何も起きていない状態です。
色を足せば散らかり、引けば単調になる。この行き止まりを抜ける鍵が、色以外の情報でアクセントを作ることです。表面の凹凸で光と影を作る。色数はそのままで、増えるのは陰影だけ。だから散らかりません。
色や柄を足さずにアクセントを作るなら、頼るのは表面の凹凸です。RAMがこの役割にアバカを選んでいるのは、編み上げた形そのものが凹凸になり、色を一つも足さずに陰影を作れるからです。
アバカは、マニラ麻とも呼ばれる植物の繊維です。船舶用のロープなどにも使われるほど強く、しかも軽い。近ごろはバッグでも見かけますが、インテリアの素材としてはまだ珍しい部類です。
このアバカを、クッションカバーでは繊維のまま使いません。帯状に仕立ててから編み上げます。リネンや綿の平織のカバーが色と柄で表情を作るのに対して、こちらは組み上げた帯の高さで表情を作ります。近づくと、一目ずつの帯に織りの目がそのまま残っているのが見えます。
Checkeredの市松柄は、染めたり織り分けたりして作ったものではありません。帯状に仕立てた素材を縦横に交互にくぐらせていく、その手順そのものが柄になっています。
だから柄と地に色の差がありません。差があるのは高さだけです。編み目の山には光が当たり、谷には影が落ちる。朝と夕方で光の向きが変われば、見え方も動きます。編み目が折り重なってできる陰影が、空間に奥行きを作っています。
床から見直したい方は、ラグとテーブルの色合わせを解説した下の記事もあわせてご覧ください。
寸法のほかに確認しておきたいのは、開閉の仕方と置き場所です。
Checkeredの二点は、どちらもボタン式です。裏側は編み込まずに平らな織り地のままで、合わせの縁に沿ってボタンが並びます。中身の出し入れはボタンを外すだけです。
直射日光に当て続けると、日焼けによって変色する可能性があります。窓辺に置くなら、レースのカーテンを一枚挟むか、季節で置き場所を入れ替えてください。
また、手仕事で編んでいるため、一点一点、表情や色味に若干の違いがあります。寸分たがわず揃いはしませんが、この揺らぎが陰影を単調にしません。
編み目が細かいものと粗いもので、置いたときの見え方ははっきり違います。同じ市松柄でも、目の大きさが変われば別のものになるからです。Checkeredのクッションカバーには、小さめに編んだブラックと、大きめに編んだキャメルの二つがあります。同じ床・同じ高さで実際に撮った二枚を並べます。
編み目が小さいものは、離れて見ると一枚の面に見えます。Checkered BKは市松を小さめに編み込んでいるため、密度の高い仕上がりです。黒一色ですが、平らな黒い布のようにのっぺりはせず、近づいてはじめて細かい市松が立ち上がります。
ただのブラックではなく、素材感が乗ったブラックだというのがこの一枚の要です。平らな黒は面としての存在感が消えて影のように沈みますが、編み目が細かく入ることで、沈まずに面として残ります。
モノトーンでまとめた部屋に置くと、効き方がよく分かります。色数は増えていないのに、ソファの面が一段引き締まる。シンプルにまとめたい方ほど、この一癖がちょうどよく働きます。
編み目が大きいものは、離れていても表情が立ちます。Checkered CMはCheckered BKよりやや大柄に編み込んであり、一目ずつの凹凸が際立ちます。部屋の反対側から見ても編まれたものだと分かる。それがCMの効き方です。
色はキャメルのワンカラーです。柄で主張せず面の起伏だけで存在感を出すので、モダンな空間にもそのまま置けます。ベージュや生成りのソファに重ねると、同系色のまま輪郭だけが浮かびます。
選ぶ目安は、そのクッションを普段どの距離から見るかです。近くで効かせたいなら細かい編みのブラック、離れて効かせたいなら大きい編みのキャメルが向きます。二つを並べて置く手もあります。同じ市松のまま粗密の差だけが出るので、色を足さずに変化がつきます。
色を足さずに部屋を締めたい。そう感じている方は、まず手持ちの中身のサイズを測ってみてください。カバーは幅45cm×高さ45cmです。合えば、替えるだけで部屋の見え方が変わります。商品ページから仕様の確認も、一枚のご相談もできます。
気になる家具は、東京・品川の店舗で実物をご覧いただけます。
無垢材の質感や座り心地を確かめてから、サイズ・素材を自由にオーダー。専門スタッフが無料でご相談を承ります。